MINI メカニックの思い

『A/Tの変速ショックとミッションへの負担について』

みなさんのA/T(オートマチックミッション)のミニは『エンジン振れ止めKIT』などの追加E/Gマウントを取り付けていますか?
私は、特別な理由がない限り、そのような振れ止めマウントは取り外すことをおすすめしています。その理由は、オートマのミニは、エンジンの駆動力を車輪に伝達する際に、左右のE/Gマウントとステディロッドブッシュの3ヶ所でエンジンの振動と『変速ショック』を和らげる役目をしています。
『変速ショック』は、エンジンから駆動力と、車輪(タイヤ)からの『回転反力』がぶつかりあったときに発生します。『回転反力』とは、急ブレーキやエンジンブレーキ、オートマチックのシフトダウン、また車輪にその他の衝撃などにより生じる、エンジンの駆動力とは逆の回転方向に加わる『力』です。
通常エンジンマウントは、この『回転反力』を和らげることとドライバーへのエンジンの振動と『変速ショック』などを吸収するのがその役目です。
オートマのミニに追加エンジンマウントを取り付けると、車輪からの『回転反力』は強化されたエンジンマウントによって充分にショックを和らげられずに『変速ショック』としてドライバーに伝わります。その『変速ショック』は、A/Tミッション内部に大きな負担をかけてしまいます。
車輪からの『回転反力』は、ドライブシャフトからデフ、そして内部のプラネタリギヤユニットへ伝わって、そこでエンジンからの駆動力とぶつかり合います。
このときに生じる※ねじれの力が、ミッションのベベルギヤを壊す原因となってしまうのです。(※1速ギヤでの走行時は、ミッション内部のワンウェイクラッチが反力を吸収します。)よって、『変速ショック』とA/Tミッションへの負担を減らすためには、適度なエンジンマウントで『回転反力』を和らげる必要があるのです。また、足回りのピロ化やワイドレッド・外径の大きなタイヤなどへの改造は『回転反力』を強める原因になるので、A/Tのミニの場合はミッションや駆動系パーツに負担をかけない、やわらかい足回りで乗られることをおすすめします。
また、急な減速、急なシフトダウンなどをなるべく避けるドライビングをするように心掛けましょう。


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